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JRC NRD-345, AOR AR7030PLUS レビュー


評価項目 JRC NRD-345 AOR AR7030PLUS
価格(定価) \98,000 (購入価格 \89,000) \158,000 (購入価格 \126,000)
外観 適度な大きさ。アナログSメーター、大型のチューニングノブなど、いかにも受信機という感じの洗練されたデザインは非常にgood。黒い正面パネル左上のJRCの赤バック金文字のロゴバッジ、音量ツマミ等基部の金色、同調ツマミ基部の銀色がアクセントになっている。満足感高い。 小さくてMIDI装置かと思わせる外観。アルミ削りだしの正面パネルは高級品であるが、よほど近くで見ないと高級感がわからない。全体真っ黒でアクセントなし。機能説明の文字は小さくて見にくい。plusのロゴが正面パネル左上に付いているが、シールが貼ってあるだけで安っぽい。満足度低い。天板は厚く、非常に頑丈な作り。
表示パネル、Sメーターの視認性 周波数が大きく表示され見やすい。液晶視野角広い。アナログSメーター非常に見やすい。僅かな電波の強弱の変化でもSメータの針が追従する。針の動きを見ているだけで遠くからの電波を受信しているという実感が倍増する。 周波数表示が小さく見にくい。液晶表示の右方向からの視野角狭く、右45度方向からでは表示が消えて見えない。(注:PWBR 2000年度版のAOR広告によると、高コントラスト、高視野角のものに変更済み)。Sメータは機能呼び出ししないと表示されないのは不便。デジタルバー表示であるが、最大位置が明示されていないので、信号強度の強さが直感的にわかりにくい。NRD-345のアナログメータと比べると、反応性悪い。
時計、タイマー 周波数と時間を同時表示できないのは不便。内蔵電池を持っているにもかかわらず、電源コードからの電源供給が切れると時計がリセットされるようになっているのは解せない。タイマー設定だけは電池で保持されており統一性がない。タイマーは1動作のみでONのあとOFFにできないのは不便。 周波数と時間を同時表示できてよい。時計、タイマー設定ともに内蔵充電池でバックアップされている。ビデオデッキと同等の、月日時間設定可能な10プログラムタイマーは便利。
選択度 2種搭載: カタログ値は2kHZ以上, 4kHz以上となっている。AR7030と比較したところ4kHzはAR7030の4.0kHよりやや広い程度。実用上問題のない性能を持っている。 2.0, 4.0, 6.0, 9.5kHzの4種搭載。実用上問題のない性能を持っている。フィルター校正機能があり、選択度は実測値が表示される。
音質(外部スピーカーで比較) AMモード選択度4kHzでの音質はAR7030同期検波offの状態よりも良好。フェージングでわずかに音が歪むが、あまり気にならない。フラットで、聴き疲れのしない音で放送を楽しめる。音質調整は低域、高域が分かれていないが、うまく機能しており1つで充分。内部スピーカーでも受信機の筐体全体がほどよく鳴り、そこそこ深みのある音が出る。 低域、高域を別々に調整可能であるが、操作がやや煩雑。AMモード選択度4.0kHzでの音質は、同期検波offでフェーディングの谷での音割れが気になる。同期検波onでは音割れは解消。ノイズも少なく明瞭になる。内部スピーカーの場合は深みのない軽い音が出るが、外部出力ではアンプの性能がよいのか、ダイナミックレンジの広い非常によい音が出る。出力も充分。短波放送でありながら、音楽を充分に堪能できる。
感度 短波帯は普通。長波、中波は低い。 短波帯:高い(NRD-345より良好)。中波帯:NRD-345が比較にならないほど良好にガンガン入感する。(以上、アッテネータ +10db設定での状態)。アッテネータを +10dbにしても、受信機本体のバックグラウンドノイズは気にならない。さらに50オームアンテナ入力部にon, off切替可能なアンテナアンプが内臓されており、重宝する。
同調操作 送りステップ切り替えは5(表示は10Hz), 100Hz, 1, 10kHz, 1MHz。同調ツマミは適度の大きさで、ツマミの周囲はゴム張りで滑らず同調操作しやすい。同調ツマミに適度な慣性質量があり、操作感非常に良好。10キーの位置は適切で入力しやすい。 ダイヤル左横に送り速度切り替えボタンが付いているのは使いやすい。自動可変速同調(ノブの回転スピードに応じて、周波数送り幅が可変)は便利。アルミ削りだし(?)の同調つまみは重量感があり、適度な慣性質量を持っているので同調の際に便利である。しかし表面がつるつるに加工してあり、指が滑って使いにくい。冬場はつまみが冷えて指先が冷たい。周波数送り最小ステップは約2.7Hzと端数があり、かつ1kHzあるいは0.1kHz単位での送りができないため、kHz以下の表示をきっちり00に合わせようとすると時間がかかる。本体にテンキーが付いていないのは不便。10キー付き無線リモコンでの同調もできるが、きっちりと本体受光部に向けて発信しなければならず使いにくい。また、本体の周波数表示が小さく見にくいため離れたところからは使えない。
その他の操作 各種ノブおよびボタンサイズは適切。ほぼ一つのキーに一つの機能が割り当てられており、分かりやすい。モード切り替え、同調ステップ切り替えが一方向送りのみなのは不便。 一つのボタンに複数の機能が割り当てられていて操作が煩雑。電源On/Offボタンにも複数の機能が割り当てられており(電源OFFは2回押し)、機能選択中に間違って電源を切ってしまうことが多々ある。本体ボリュームおよび選択ノブは小さく使いにくい。リモコンのボタンはぐにゃぐにゃして押しにくい。
同期検波 利き方が弱いのか壊れているのか同期検波ONとOFFの状態の差が不明。OFFの状態でもあまり問題ない状態で受信できているので許せるが、日本無線の広告にはこの機能がセールスポイントとして大きく記載されており、疑問を感じる。この価格の受信機であれば、上下の側波帯を選べるようにしてほしかった。 同期検波OFFではフェージングに伴う音の歪みが少し気になるが、ONにすると歪みのない聴きやすい音になる。自動チューニング機能あり。利用価値大。パスバンドシフトを併用することにより側波帯の上下を選択可能であるが、やや操作が面倒。
その他の機能 ボタン一押しのVFO A/B切り替えは非常に便利。 VFO A/B切り替え操作はやや煩雑。テキスト入力可400チャンネルメモリーと連動した、チューニング時の自動局名表示は便利。パスバンドシフトは実用性高い。
総合評価 安価であるが最低限必要な機能はひととおり備えている。微弱遠距離局の受信には若干の能力不足を感じることがあるが、操作性が非常によく、素のAMモードで聴き疲れのしない音が出るので、気軽に強力局を楽しむのに最適。 設計者のこだわりが小さなボディに凝縮された1台。操作性がよくないのは残念であるが、価格に比べて基本性能が非常に高く、使いこなすにつれてその良さがじわじわと判ってくる。微弱遠距離局を攻めるもよし、近場の強力局をゆっくりと聴いて楽しむもよしのオールラウンダー。買って本当によかったと思わせる。

Passport to world band radio, WRTHの評価記事も参考になります。Passport to world band radio 1999ではNRD-345が4つ星、AOR7030plusが5つ星、WRTH 1999ではNRD-345が3つ星、AOR7030plusが4つ星(本文中では5つ星ですが、Roundupのリストでは4つ星)でした。ちなみにNRD-545はマイナーバージョンアップが続いているらしく、WRTH1999では総合評価が最高の5つ星となりました。音質などは個人の好みの問題であり、購入の際は、実際に現物の音を聴いてみることをお勧めします。なお、上記比較は、日本国内で超強力局が近くに存在しない、標準的な環境化で実施したものです。 (以上、1999年3月 記載。2000年5月 一部改定)

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